2017年02月26日

「カブールの園」  宮内悠介 

今回の芥川候補作だったということで読んでみた。

今年の作であるので、日本語が全く理解できない日系三世の女性を主人公に据えて、アメリカにおける人種差別を描いているのであれば、現米大統領の事は少なからず思い寄ったのでは無いかと考えるけども。

真珠湾攻撃があって、大統領令にて日系人が収容所に隔離され(同じ枢軸国でありながらイタリア系、ドイツ系人は隔離されなかったのに)、戦後四十年以上を経て、レーガン大統領の時、生き残っている人たちだけを対象に補償が決まった。
その時のレーガン大統領の言葉 「これから私が署名する法案は、移動や拘留を強いられた十二万の日系人のうち、今生存してる六万人に賠償をするものである。だが、失われた年月に釣り合う金額など無い。重要なのは、この賠償が資産ではなく、名誉のためにこそあるということだ。いま、我々はあやまちを認める。法のもとの平等のために、いま、我々は国家として責任を認める。背後に多言語社会を持つにもかかわらず、いや、そうであるからこそ、我々は世界に於いて力を得たのだ。これがアメリカのありようだ。」 これが一番、心に響いた。

物語の主題は、同じ日本語という言語を世襲しない、日系一世、二世、三世の「伝承のない文芸」と、アスペルガー症候群のような主人公が幼少時のトラウマから脱却していく話、であるのだろうけども。

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2017年02月21日

Keeper 「マル・ピート 池 央耿=訳」

サッカー世界選手権、ドイツを破りワールドカップを制覇した南アメリカの国(たぶんブラジル)のゴールキーパーに有名な新聞記者がインタビューしている設定。キーパーはスペイン語で雄の猫「エル・ガトー」と呼ばれすでに神格化してる有名選手。

「手始めにざっと生い立ちを話してくれ」、、、けれどガトーはとても長く奇妙な話を始めた。運動音痴で一度はサッカーをあきらめた少年が、誰も行けないジャングルの奥にある「広場」で誰ともわからない「キーパー」に毎日みっちり訓練を受け、どんどんサッカーが上手になり、その結果がワールドカップ制覇だという、、、。

ガトーは摩訶不思議な練習を語る。本当に優秀なキーパーは相手選手が何処にペナルティーキックを蹴るか決められるんだ。

相手の動きを読んで蹴る前に跳んでも、読みが外れたり、またはミスキックでシュートコースが逆の場合、跳びながら空中で「戻る」、「コースを変える」!! 

試合の展開も丁寧に描かれていてサッカー好きな人にとっては、とてもおもしろいと思う。
最後の数ページは胸に押し寄せてくるものがある。

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2017年02月20日

「暗幕のゲルニカ」 原田マハ

ゲルニカという絵のコピーは数年前、鳴門の大塚美術館で観てました。

話はファシズムの軍靴の響きが次第に大きくなりつつある1930年代ヨーロッパと、同時多発テロの2001年現代アメリカが同時進行で進んでいきます。

絵画「ゲルニカ」が描かれた時の話、ピカソがそれに込めた思い、人びとに与えた影響、、、、、。

同時多発テロ直後、世界中の国々が国家主義、排他主義になってしまう世界において、、、、、。

これ以上書くとネタバレなのでやめときます。

図書館でフルカラー現代芸術の本の「ピカソ」を借りてきて見ながら読みました。

最後の、無理無理に書き込んだアクション系エピソードは脱線??余分だとぼくは思いましたけど、、、、どうでしょうか。

話の趣旨とか主題はとてもいい話で感動しました。

マドリッドのプラダ美術館には行けないし、NY国連安保理会議場にも行けませんが、鳴門の大塚美術館へまた行きたいと思いました。

芸術は武器より強し。

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2017年02月15日

何者 朝井リョウ

「部活やめるってよ」はずっと前に読んだ。普通の高校生たちが挫折しながらも自我を創り上げていく、瑞々しい言葉で書かれた、さわやか系の話。

本作は「何者 N@NIMONO」と映画化されて、最近観た映画が始まる前に予告編がずっと流されてて、さわやか系の話はいまさらもうどうでもいいけど、まあ読んでみるかくらいの気持ちだったけど、ここ最近読んだ本の中で一番痛かった。

話の中のどんでん返し、読み手としての気持ちの置き場所がひっくり返されるのが最高に痛かった。すごい。

こんな事を批評してる自分も実ははずかしい。

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2017年02月14日

芥川賞受賞作 「しんせかい」 山下澄人 

文藝春秋の芥川賞発表号で読みました。

30年以上前の話。30年前の事は、自分にしても断片的にしか覚えていない。

30年の間に何度も夢にみて、ある感情が増幅され、潜在意識に刷り込まれ、思い込みが事実と自分の中で入れ替わってしまう事はよくあるだろう。もしかしたら、ぼくの思い出も「より強烈なインパクトがあったもの」だけに書き換えられてるかもしれない。

夢と、現実と、あったことと、想像してあったと思ってること、今夢の中で見てること、すべて同列で、心にうかんだ言葉のまま書き写したような。言文一致、ではなく「心文一致」(造語です)というべきか。

現実の思い出より、塾を出てから何度も見たのであろう当時を思い出す夢の方がリアルに描かれている。その言葉はこころに浮かんだすべての言葉を、文脈の意味の通り具合も、文法も、時制も、人称すら、どうでもよいみたいで、その開放感、心に浮かぶ思いのまま感が読みやすく、すとんと腹に落ちる。

作者は30年以上に倉本聰氏が北海道の山奥に開いた「富良野塾」の二期生。 当時、三十前のぼくは土庄中央公民館で富良野塾公演「谷は眠っていた」を観ている。

その舞台に作者の山下澄人氏が立ったのかどうかは、今は知るよしもない。

忘れかけてた、思い出したくない記憶を呼び起こされるような一冊。鈍い痛み。

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2017年02月12日

カールスバーグ クラブボトル 

カールスバーグビール、デンマークのラガータイプのビール。

サントリーが日本でライセンス生産しています。ヨーロッパのビール法は厳しくて、原料は水と麦芽とホップしか認められていません。それを忠実に守り最新技術で造るのだから、現地生産のよりサントリー生産の方がうまいと人気です。

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まひるの月を追いかけて 恩田陸

いわゆるロードムービーならぬ「ロード小説」、歌舞伎で言うところの「道行」。
読んだら奈良に行きたくなる。話の中で巡った寺や神社、公園などを「聖地巡礼」したくなる。

異母兄が奈良で消息を絶ち、たった二度しか会ったことのない兄の彼女と兄、研吾探す旅にでる「私」。

最初は旅情話だと思って気楽に読んで、修学旅行で行った奈良を思い出してたりしてたけど、話の中で二人も死んで(!)急にサスペンスっぽくなってきた。

「私」のキャラ設定というか、事なかれ主義で万事自分より人がどう感じるか、どう思うかを考えすぎてしまう心情描写が現実味がありすぎて、身につまされる。

最後のオチは、「んーーーー、そうなん??」的で、 「THE END」 より 「TO BE CONTINUED」やろ!といいたくなるほど、無責任な終わり方(笑)。

読み応えありました。おもしろかったです。おすすめします。

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2017年02月06日

「蜜蜂と遠雷」 恩田陸

読みました。本作が直木賞だとは知らずに、なんとなくKindleにオススメされて。

架空の国際ピアノコンクール。世界の若手ピアニストの登竜門とも言える大会に出てくるのは、全世界から神童、天才、そして想像を遥かに超えた音楽の神様からの「ギフト」。

審査員の世界の音楽界の大御所女史、優勝候補ナンバーワンの日系美形男子ピアニスト、幼くしてデビューしたものの母親の死で演奏活動から遠のいてた日本人少女ピアニスト、普通の人が「海抜ゼロ」から上をめざす会社員ピアニスト、全くだれも素性を知らない天然素材ピアノ坊や、などの多人称で語られる話。

話のおもしろさ、感動を別としても、驚くのが今時の音楽事情についての取材のすごさ。ひととおり読んだだけなのに、上っ面だけなら今の音楽事情を語れる気がする。

作品中に出てくる楽曲名はもちろん実在。Spotifyでいちいち検索して聴きながら読んだ。恩田さんはこの本を書くにあたってかなり聴きこみ勉強なさったと思う。ぼくはこれまでロックしか聴いて無くて、書いてることがあまりわからんかったけど、ただひとつ日系美形天才ピアニスト、マサルが本選で弾くプロコフィエフ3番が「銀河の彼方に消えていくあらずじの字幕。次々と宇宙に飛び出していく大艦隊。まさにスター・ウォーズの世界だ。」これだけはわかった。

音楽の感動というか、感じ方はとても個人的なもので、直接話しても説明しにくいものなのに、言葉、文字、表現、言い方、書き方すべての手段と手間を惜しまず、出し尽くして読む者に伝えている。伝わり方は読む者の音楽に対する熟練度しだいであると思うのだが。

主人公と追体験して、数回泣けました。 すばらしい一冊でした。

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2017年01月30日

無事これ貴人  伊坂幸太郎

無事これ貴人 読みました。

伊坂幸太郎はゴールデンスランバーを以前読んだ。とてもおもしろかった。

この作は軽いタッチの連続するようで連続しない小話の連結。どの話もちょっとワクワクしてこれからどうなるのかな?と思わせるけど、続かない。

最後に、うまく一回転して元に戻る、ここらへんうまいなあと感心して、思わずもう一回り読んでしまう。まんまと術中にはまってしまう。

いい話でした。

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2017年01月29日

桜七 小野寺秀樹

SFホラーファンタジーというジャンルらしい。Amazon Unlimited 読み放題サービスで読んだ。

2018年7月20日 午前9時48分、強大な破壊力を持った地震が関東周辺で同時多発し、東京湾に津波が襲来、富士山が大噴火、広範囲の地域が被災する。

ある使命を持ち、壊滅した東京から一人の女性を助け出す。実はタイムトラベラー戦士?みたいな設定で、強靱な肉体はターミネーターのようだ。シリーズ化されていて、最後には未来の救世主の母となる女性であるとわかるのかなと思った。

読んでてドキドキ、途中で止まれないサスペンス。おもしろかった。

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posted by だいちゃん at 12:06| 香川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読んだ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする