インド、チェンナイ(以前のマドラス)でIT企業社員相手の日本語を教えている女性の話。
「百年に一度」の洪水で通勤で毎日通る橋が埋まるほどの泥やらゴミ。その泥の中から出てくる、出てくる、百年分の、思い違いのすれ違い、言わなかった言葉、言えなかった言葉、恨み、悲しさ、つらさ、、、、。
初めの方は、読んでおもしろい海外紀行文ふうで、すらすら読んでいたけど、ん??インドでは富裕層は想像を絶する通勤ラッシュを避けるため、「飛んで通勤している」という一文から「え??」となり、ファンタジーフィクションだとわかる。けれども軽妙なタッチで語られる中、心に残るエピソードもあり、心にのこる作品でした。
東大卒、学者の夫とインド在住。流石に文章がうまい。むつかしい漢字をたくさん使ってて、文脈でだいたい意味はわかるけど知らなかった漢字で、何回か辞典を開いた。その反面「いちおう」とか「とつぜん」とか「ひじょうに」だとか、ひらがなのままの単語は黙読する読者のリズムを重視してるのか、読みやすい。反面ひとつの文章がすごく長かったりするのだけど。
店番しながら半分読み、晩ご飯のあと続きを読み終わり、楽しい時間でした。